« チンゲン菜と豚肉のパスタ | メイン | 広島「最強」打線 »

2006年11月19日

武田頼政 『Gファイル 長嶋茂雄と黒衣の参謀』

Gファイル.jpg

武田頼政 『Gファイル 長嶋茂雄と黒衣の参謀』(文芸春秋 2006年)

第2期長嶋監督期の巨人を追ったノンフィクション。
本書は、長嶋監督を、文字通り影から補佐した私的参謀・河田弘道氏が綴った、“Gファイル”と呼ばれる資料を元に、深刻な組織的欠陥を抱えた巨人軍の実態、そして、長嶋茂雄の実像を読み解いていきます。

長嶋の執拗な要請に応じ、真の長嶋政権確立に取り組んだ河田弘道氏。
選手を一流のアスリートとして育成し、チーム強化を図る一方で、組織のポリティカルゲームを制して、巨人軍を大改革するために、彼が日々綴った記録。それが、“Gファイル”です。
そこには、選手やコーチ、フロントの赤裸々な人間模様が、実に生々しく記されていました。

河田氏自身の存在は、超トップシークレット。
その河田氏の“Gファイル”は、当然、極秘中の極秘です。
本書を読めば、その意味は納得できます。こんな物が公になったら、巨人軍の内部崩壊は間違いないでしょう。

野球の専門家ではないものの、最新のスポーツビジネスを知る河田氏が、巨人軍(野球界)の旧態依然たる欠陥の数々を、次々に指摘していく過程には、思わずぐいぐいと引き込まれてしまいました。
世界各地で一流アスリートと接してきた河田氏が指摘する、あまりにお粗末な巨人軍の選手の実態。他チームの選手も耳が痛いのではないでしょうか。

そんな氏が選手に対して最も大切にしたのが、身体と精神のケアです。
したがって、改革は最先端の医療技術の導入から始まります。
その後、河田改革は監督の采配や選手のメンタルケア、コーチの人間関係、読売グループの人事まで、実に広範囲にわたって行われ、徹底した情報収集と対策が施されていくのです。

ところで、ここで指摘されている欠陥は、今も大して変わっていないのではないでしょうか。タイガースも無縁ではない気がします。

さて、腐敗しきった巨人軍と戦い続ける河田氏にも、球団を去る時が訪れます。
そこで明らかにされる、長嶋茂雄という人間の本質。
単純に、おもしろいと言える一冊です。

一方で、多少の不満も残っています。
FAによる選手乱獲で、野球がつまらなくなり始めたのもこの時期です。
編成事情にまで深く切り込んでいた“Gファイル”には、何が書いてあったのかは、ぜひとも知りたかったです。
それと、「メークミラクル」が演出というのは、さすがに言い過ぎだと思いますが。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.komaro.net/mt/mt-tb.cgi/171

コメント (2)

河田弘道:

貴重な書評ありがとう。感謝致します。岡田監督を応援して上げて下さい。深謝

河田弘道 拝

komaro:

えっ!ご、ご本人ですか?
い、いや、こちらこそ、好き勝手書いてしまいまして…。

『Gファイル』は、本当に楽しく読ませていただきました。
すばらしいノンフィクションに出会えたと思っています。あたふた。

こんな適当な書評というか、サイトにコメントいただけるとは。
こちらこそ、本当にありがとうございます。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)