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2007年04月29日

アンドリュー・ジンバリスト 『60億を投資できるMLBのからくり』

アンドリュー・ジンバリスト著 鈴木友也訳 『60億を投資できるMLBのからくり』(ベースボールマガジン社 2007年)

看板に偽りありですが、面白い。
「60億」とは勿論、松坂の落札額のことを指していますが、実は、原書が発表されたのは2003年。当然、松坂は一切出てきません。
本書の内容は、経済学者である著者による、2001~2002年シーズンにMLBに起きた球団削減問題や労使交渉に関する考察です。
これが非常に面白くて、看板に偽りがあっても許せます。

本書では、統計学上の観点から、「技能密度(一定人口あたりの選手数)」の低下が大記録の出現を妨げるとして、MLBの繁栄を拡大路線に求めたり、戦力の均衡を図るには、フランチャイズの規制を排除した自由市場型の解決策が有効とするなど、経済学的な考え方をベースとした分析や提言が繰り広げられます。

オーナーが繰り返し主張する球団の赤字経営(反トラスト法の適用除外根拠の一つとされる)については、独自の理論を展開。
赤字の実態は、関連会社間で損益をやり繰りする会計操作であり、多くの球団の純粋な経営は黒字、もしくはそれほど大きな赤字ではないとしています。

一般的には、肯定的に捉えられることが多い球団による地域への経済効果についても否定的です。このことから、行政機関など公的組織の球団への援助についても冷ややかです。

冷徹な経済学的見地に立った独特の分析は、非常に興味深いものばかりです。
分析対象はMLBですが、日本のプロ野球についても同じようなことが言えると思います。
どこかで聞いたような意見ばかりの日本の野球評論家たちとは、一線を画した分析の数々は、思わずうなづいてしまうことばかりです。

事例が若干古いことと、翻訳に難があること以外は、かなりお勧めの一冊です。

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