小島克典編著 『プロ野球2.0 立命館大学経営学部スポーツビジネス講義録』
小島克典編著 『プロ野球2.0 立命館大学経営学部スポーツビジネス講義録』(扶桑社新書 2008年)
MLB時代の新庄の元通訳として知られる著者が、立命館大学で2007年春に担当した特殊講義をまとめた講義録です。
大学の講義といっても、団野村氏、スポーツ弁護士こと水戸重之弁護士、阪神タイガース営業部の畑野幸博氏、ファイターズ球団社長の藤井純一氏など、毎回、プロ野球界のそうそうたる面子のゲストスピーカーが出席した、なかなかに興味深い内容です。
個人的に秀逸だったのは、団野村氏の回。
メッツと4000ドルで契約した選手を、ヤンキースに395万ドルで契約させた話は、現場で活躍する人間ならではの生々しい実態が垣間見えて、非常に興味深いところです。団氏の話は全体的に金銭絡みだからか、他の回よりも生臭い話が多く、そこがまたおもしろいのです。
もう一つ挙げるとするれば、ファイターズ球団社長の藤井純一氏とベイスターズ元球団社長の大堀隆氏の2人がゲストスピーカーとして登場した回です。
こちらは、マクロ的な視点から、プロ野球界をどう盛り立てていくべきなのかということが語られています。やや総論的で、結論は一般的なのですが、実際にチームを日本一に導いた球団社長という現場責任者の声だけに、妙に説得力があります。
パ・リーグが懸命に野球を盛り上げようと模索する中、セ・リーグの危機感のなさは深刻です。
最後に、講義ではなく、著者による最終章。
特に印象的だったのは、「歩いては海をわたれない」という言葉です。
これは、著者が通訳をしていた新庄が、マイナーリーグの試合でノースリーから打ってショートゴロに倒れた際、同僚がかけた言葉。ノースリーから四球を待つのではなく、打って出たことを称える一言で、「四球を待つようでは、メジャーに上がれない」というわけです。これは、著者がアメリカで聞いたもっとも印象的だったというフレーズでもあります。
ストライクを積極的に打っていく。きわめてシンプルな野球の精神ですが、勝ち負けばかりにこだわりがちな昨今、もっと大切にしなくてはならない事柄ではないでしょうか。
