金本知憲 『覚悟のすすめ』
金本知憲 『覚悟のすすめ』(角川oneテーマ21 2008年)
野球をはじめスポーツ関係の書籍を読むのは好きなのですが、ノムさんなどの一部の人を除いて選手や監督自身の著作はほとんど買いません。
生意気なようですが、内容はスポーツ誌等のインタビューの範疇を出ていないレベルのものが多く、文章も読み物としての一定水準に達していないものも少なくないと感じているからです。そんな中、なかなか評判で売れ行きも好調ということで、久々に“選手もの”に手を出してみました。それが、我らが金本の『覚悟のすすめ』です。
内容を一言で表すとすれば、金本の仕事としての野球へ取り組み方を中心とした、「金本流仕事の仕方」と言えばいいのでしょうか。
金本が、星野SDと並んで、21世紀型タイガースの構築の最大の功労者の一人なのは、多くの人に異論のないところだと思います。本書の全体を通して、野球にかける真摯な思いが伝わってきます。金本と共に、タイガースが戦う集団に変わっていった過程の舞台裏と、現在のチームの雰囲気が生々しく伝わってくる点は、現役選手の著書ならではの魅力です。
ただ、あまりにも多くを背負っている金本だけに、思いを共有できる新井の獲得は英断でした。単なる戦力的な向上のほかにも、新井の加入で金本の精神的な負担も軽減されるでしょうし、金本が目指す「戦う姿勢」をチームの伝統にという思いを結実させるためにも、新井は最高の存在です。
虎ファンは勿論、楽しめるでしょうが、それ以上にタイガースの選手に読んでもらって、金本という超一流選手から、「戦う姿勢」を学ぶことが、本書の一番の使い方かもしれません。