自主トレの話題が紙面を飾ることが多くなってきたプロ野球。
各チームの新人も合同自主トレが始まりましたが、中でも注目を集めるのが、ジャイアンツの大型新人、大田(巨)です。大田(巨)の売りは、高校通算65本塁打を放ったその打撃力。
ジャイアンツファンならずとも、プロでも大型スラッガーとしての活躍を期待してしまいます。
その大田(巨)について、だいぶ古いですが、こんな記事がありました。
◆G大田は“本物”? 高校本塁打数は当てになるのか(ZAKZAK)
大田の高校通算本塁打は65発で、清原和博氏の64、ヤンキース・松井の60を上回っている。とはいえ、史上最多の87発を引っ下げてプロ入りした中田(日本ハム)が今季1度も1軍に上がれなかったように、ランキング上位にも、プロで苦労したり、イメチェンでスラッガーとは言えなくなってしまった例が数多い。高校通算本塁打はどこまで当てになるのか。
確かに、毎年のようにドラフトの話題ともなる「高校通算本塁打数」ですが、どの程度あてになるのでしょうか。やはり、高校通算87本塁打なんて言われれば、プロでも豪快な打撃を思い描いてしまいます。
そこで、調べてみました。
高校通算本塁打数の上位記録者が、プロ野球でどんな成績を残したか、また、残しているのか。
プロでの成績といっても色々ありますが、今回は、ホームランにこだわってみました。やはり、高校通算本塁打記録保持者には、巧みやバントや盗塁よりも、大きな当たりを期待してしまうのが人情でしょうから。
50本で区切ったのは、これより少ないとスラッガーとは呼びにくくなるのではないかというイメージです。また、プロ入りしていない選手は除外し、野球環境の違いからメジャーリーガーについては、日本での成績のみを対象にしました。年は、プロ在籍年数です。
その結果が、表1です。
表1 高校通算本塁打数記録保持者のプロ通算本塁打成績高校 本塁打 | 選手名 | 出身校 | プロ通算 |
| 本塁打 | 打数 | 本塁打率 | 年 |
| 87 | 中田翔 | 大阪桐蔭 | 0 | 0 | 0.00 | 1 |
| 86 | 大島裕行 | 埼玉栄 | 21 | 731 | 34.81 | 9 |
| 83 | 鈴木健 | 浦和学院 | 189 | 5174 | 27.38 | 19 |
| 中村剛也 | 大阪桐蔭 | 86 | 1315 | 15.29 | 7 |
| 75 | 森章剛 | 藤蔭 | 5 | 135 | 27.00 | 9 |
| 74 | 伊奈龍哉 | 近江 | 0 | 0 | 0.00 | 1 |
| 71 | 大野貴洋 | 所沢商 | 0 | 0 | 0.00 | 6 |
| 70 | 城島健司 | 別府大付 | 211 | 4031 | 19.10 | 14 |
| 平田良介 | 大阪桐蔭 | 1 | 111 | 111.00 | 3 |
| 69 | 平尾博司 | 大宮東 | 30 | 1297 | 43.23 | 15 |
| 68 | 藤島誠剛 | 岩陽 | 23 | 607 | 26.39 | 17 |
| 66 | 吉本亮 | 九州学院 | 0 | 185 | 0.00 | 10 |
| 65 | 大田泰示 | 東海大相模 | 0 | 0 | 0.00 | 0 |
| 64 | 清原和博 | PL学園 | 525 | 7814 | 14.88 | 23 |
| 鈴木将光 | 遊学館 | 0 | 0 | 0.00 | 3 |
| 62 | 畠山和洋 | 専大北上 | 11 | 516 | 46.91 | 8 |
| 61 | 江藤智 | 関東 | 364 | 5780 | 15.88 | 19 |
| 山本光将 | 熊本工 | 0 | 0 | 0.00 | 6 |
| 60 | 筒井孝 | 松戸馬橋 | 0 | 0 | 0.00 | 5 |
| 松井秀喜 | 星稜 | 332 | 5506 | 16.58 | 16 |
| 松田宣浩 | 中京 | 27 | 948 | 35.11 | 3 |
| 中村晃 | 帝京 | 0 | 0 | 0.00 | 1 |
| 58 | 萩原誠 | 大阪桐蔭 | 4 | 198 | 49.50 | 10 |
| 長田勝 | 神港学園 | 0 | 18 | 0.00 | 6 |
| 瀬間仲ノルベルト | 日章学園 | 0 | 0 | 0.00 | 3 |
| 赤坂和幸 | 浦和学院 | 0 | 0 | 0.00 | 1 |
| 57 | 石原慶幸 | 県岐阜商 | 27 | 1803 | 66.78 | 7 |
| 56 | 山崎武司 | 愛工大名電 | 324 | 5457 | 16.84 | 22 |
| 山口幸司 | 大宮東 | 15 | 699 | 46.60 | 11 |
| 55 | 西崎伸洋 | 糸島 | 0 | 12 | 0.00 | 7 |
| 岡田貴弘 | 履正社 | 0 | 6 | 0.00 | 3 |
| 堂上直倫 | 愛工大名電 | 0 | 1 | 0.00 | 1 |
| 坂本大空也 | 市柏 | 0 | 0 | 0.00 | 1 |
| 54 | 辻竜太郎 | 松商学園 | 9 | 468 | 52.00 | 6 |
| 林威助 | 柳川 | 23 | 690 | 30.00 | 6 |
| 吉良俊則 | 柳ヶ浦 | 0 | 0 | 0.00 | 5 |
| 53 | 李杜軒 | 岡山共生 | 0 | 0 | 0.00 | 2 |
| 52 | 大久保博元 | 水戸商 | 41 | 635 | 15.49 | 11 |
| 熊沢当緒琉 | 所沢商 | 0 | 0 | 0.00 | 7 |
| 加勢敏弘 | 北陽 | 0 | 126 | 0.00 | 10 |
| 古木克明 | 豊田大谷 | 58 | 1250 | 21.55 | 10 |
| 岩本貴裕 | 広島商 | 0 | 0 | 0.00 | 0 |
| 斉藤彰吾 | 春日部共栄 | 0 | 0 | 0.00 | 1 |
| 51 | 大江弘明 | 大商大堺 | 0 | 0 | 0.00 | 7 |
| 吉岡雄二 | 帝京 | 131 | 3233 | 24.68 | 18 |
| 浜中治 | 南部 | 79 | 2063 | 26.11 | 12 |
| 水田圭介 | 大阪桐蔭 | 1 | 56 | 56.00 | 8 |
| 小島昌也 | 自由ヶ丘 | 0 | 0 | 0.00 | 3 |
| 50 | 稲葉篤紀 | 中京 | 200 | 5288 | 26.44 | 14 |
| 石本豊 | 藤代紫水 | 0 | 0 | 0.00 | 6 |
| 富永旭 | 春野 | 0 | 0 | 0.00 | 4 |
ざっと見たところ、清原、江藤(西)、山崎(楽)、松井(ヤ)ら300本超えの大物や、城島(マ)、稲葉(日)、鈴木健の200本前後組の存在がありながら、全体的には、思ったよりも低調な結果になっているように感じます。
多くの選手が、高校3年間の記録よりも少ないホームランしか打てていません。
特に多いのが、プロ通算0本や、さらには打数0という選手です。今年新人の大田(巨)を除けば、前者は25人、後者は19人もいます。1軍での打撃機会すらつかめていません。
試しに、高校通算本塁打数とプロでの本塁打率との相関係数を取ってみました。
結果は、-0.00716ときわめて小さい数字でした。ほとんど相関関係はありませんでした。統計的な面から考えると、高校通算本塁打数はあまり「あてになる」指標とは言えなさそうです。
では、ホームラン以外はどうかとも考えましたが、打数0の選手が19人いることに象徴されるように、その他の成績についても、大きな期待はできそうにありません。
相手投手のレベルやバットの変更、選手の成長の速度(早熟か晩成か)など、この原因には様々な要因が考えられるでしょうし、逆に、プロ通算本塁打記録保持者の高校での成績はどうなのかという疑問も出てきますが、それはまたの機会ということで。
いずれにしても、高校通算本塁打数はプロでの活躍を図る指標としては「あてにできなさそう」であり、高校野球とプロ野球には歴然とした差があるという、おもしろくもない結論で締めたいと思います。